マンション管理士の情報屋です。みなさんおはようございます。
「今日の相談事例」の時間がやってきました。。。と言っても相談事例は今日が初めてです(^◇^)
と、いうことで今日はマンション判例ではなく、マンション管理業協会での相談事例をご紹介したいと思います。
一般財団法人マンション管理業協会ってみなさん御存じです?今年の4月1日から、社団法人高層住宅管理業協会が名称変更して、一般財団法人マンション管理業協会となりました。
簡単に言うと、国交省の指定団体で管理費等の保証事業や、管理業務主任者の試験やら登録やら、調査・研究やら色んなことをやっていて、その中に相談業務等もあります。
その中での事例をひとつ。
理事会で決議された議案が総会に上程されたが、理事長は理事会決議の場において、その議案に反対でした。
総会開催にあたって、理事長あてに委任された議決権を反対票として行使することは出来るのか??という感じの事例です。
【いつ】 不明。
【どこで】 マンション管理業協会(旧社団法人高層住宅管理業協会)で
【誰が 誰に】 区分所有者がマンション管理業協会に
【どのように】 理事長が自分に委任された議決権を反対票として行使してよいか相談された。
【結果 】 反対票としての行使は認められないと解されるべきである。
問題点
・総会への議案上程に掛る理事会に対する理事長の立場。
・理事長は、自身に委任された議決権を、反対票として行使してよいか?
ポイント
理事長は、理事会の決議を尊重し、それに従う義務があると考えられる。
総会に上程される議案は、総会招集者である理事長がその承認を得るために総会に議案書を提出しているので、一般的にはその議案を承認するものとして委任すると解される。
また、理事長が委任状を反対票に行使することは、理事会決議を軽んじることになり、委任状を提出した人たちの意向に反することになるので、認められないと解されるべきと回答された。
そうです。
管理協の見解がどこまで使えるのか?というところでは一考の余地がありますが、話をする根拠にはなると思います。
フロントマンのみなさんは、お客様に聞かれた時には答えられるようにしておきましょうね(^^)
公開日:2013-04-16
当然その意見も考えられますが、そうであれば、議決権行使で賛成しとけばよいのでは?と思います。実際の総会出席者の質疑の中で、議長の判断が変わる可能性もあると思います。基本的に議長は賛成だと決めつけ委任しるというのは少し無責任な気がします。議長は賛成しなければならないというのは疑問です。2014年12月12日 17:33
いやいや理事長さま。コメントありがとうございます。放置していて申し訳ないです。
わたしの考え方を述べますね。
上記のケースの場合は、委任状が議案に賛成という意味で提出されているものと思います。
かつ理事会の場では、理事長は決議に反対だった訳ですね。
それを総会の場で委任状を反対票として使う、というのではある意味「だまし討ち」になってしまう、という意味になると考えています。
わたしは個人的には総会は議論をする場ではなく、「形式上」決定をする場と考えています。
ですので、理事会で検討をした事項については、議事録を全戸へ配布し、討議した内容や議案を上程するに至った経緯を全区分所有者へ知らせ、なおかつ意見や質問があれば理事会へ提出して頂くよう広報しています。
また、重要と思われる議案については、事前に説明会等を開催することを理事会に提案しています。
議論を尽くした上で総会を開催して頂いて、総会では決定するのみ。
『結論を言えば、「議決権行使書」で総会開催時には既に決定して頂いているのがベストと思っています』
それでも、どうしても予期せぬことが起きてしまって、という場合には議題を「取り下げて」頂いています。 2014年12月28日 10:04
「取り下げ」若しくは「継続審議」又は「理事会に差戻し」でしょうね。
原点に帰りましょう。区分所有法第34条第1項及び標準管理規約第42条では、総会の招集権又は召集義務は管理者である理事長に有ります。その招集権者である管理者・理事長が反対する議案が上程されるのは、通常では有り得ません。というより、議案は法定の効力がない、というのが妥当でしょう。(だから、理事長というのは想像以上の権力者なのです。)例外的に、総会招集通知を出したが、その後に、議案に一見明白な瑕疵があるような場合、急遽「取下げ」があるのみです。
理事長が反対する議案を総会上程するならば、区分所有法第34条第3項以下及び標準管理規約第44条の、5分の1以上の組合員の同意を得てする臨時総会に切り替えるべきであり、そこで理事長委任がいくら出るかで民意を測るべきです。2014年12月30日 18:20
上記よりもっと遡ると、この設問自体に疑義があります。
「理事会で決議された議案が総会に上程されたが、理事長は理事会決議の場において、その議案に反対でした。」
すなわち、理事会は理事長の意思を無視して総会に議案上程したように読めますが、理事会は、理事長に固有に認められた法34条総会招集権をコントロールできる根拠を持っているのでしょうか。
私に言わせれば無い。法では無いです。ただし、標準管理規約によれば多少救われます。同第54条では総会提出議案の決議権はありますが、やはりこの規定が同42条第3項以下の理事長固有に認められた総会招集権に優越するとは思えません。理事長が、
「俺は、この議案がある限り、総会は招集しない。」とくると、理事会は対抗できません。
ではどうするか。理事会の力でこの議案を押し通し上程できないのか。解決策は、標準管理規約第35条第3項の援用です。
「理事長は、(中略)理事の互選により選任する。」
選任できるということは、解任もできます。ズバリ、理事会多数決により反対派理事長を解任し、賛成派理事長を新たに据えて、この理事長に当該議案審議のための総会を招集させればいいわけで、上記法第34条第3項以下の5分の1以上召集をやるよりも、はるかに手続きは簡単です。
さらに、管理組合法人理事のことを規定した法第49条を援用するなら、複数理事長の存在も有り得ます。会社法で複数代表取締役を認めているのと同じです。
ですから、現理事長はそのまま置いといて、この議案にのみ権限を持つ理事長を理事会が擁立し、議案の成立、施行までの面倒を見させるというのは可能であり、その間、現理事長のこの議案に対する権限のみ剥奪するというのも、対外的な対抗力はありませんが、管理組合組合員内部に対する対内的な効力は有ります。2014年12月31日 11:43
近藤様。いつもフォロー頂き、ありがとうございます(^^)2015年02月03日 11:00
篠原みち子弁護士様。当職が上記投稿をしたのを意識したのかしないのか、この投稿の直後、2015年4月号マンション管理センター通信に掲載された貴職の「管理規約、判例等から考える理事長の仕事」中4「理事長の責任」の(4)理事長の責任追及①(5頁)の中で、
「標準管理規約は、理事長は理事の互選によると定めているだけで、その解任については定めていないので、理事長の解任には総会の決議が必要という考え方と、理事長のみの解任であれば理事会の決議でこれを行うことできるという考え方があるようです。しかし、後者の考え方を採用すると、区分所有法25条1項によれば管理者の解任は、規約に別段の定めがない限り総会決議によることが必要なので、区分所有法上の管理者としての立場は残ってしまうのではないかという懸念が残ります。したがって、理事長の解任は総会の普通決議で行うべきでしょう。」
これに対し、昨日2017年12月18日最高裁第1小法廷判決は、このような区分所有法とのしがらみをバッサリと否定し、当職と同じ
「標準管理規約準拠の規約で理事長を理事会で選任できるということは、理事会で解任もできる」説を採用し、さらに朝日新聞報道では、国土交通省がこの判決を受けて、標準管理規約に理事長解任規定がないのは問題ありとして、「必要があれば規約の見直しを検討する」とのこと。
もはや完勝ですね。一介のマンション管理士、近藤紀文の!2017年12月20日 01:21
近藤様
ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです。
なかなか更新もままならないのですが、もし可能であればこちらのHPは引っ越ししようかと考えております。(無償のブログサービスは、こちらの意図しない広告が煩わしいものですから)
引越しする際はご案内させて頂きたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。2017年12月21日 22:39