総会の議事録はいつまでに完成させる必要があるか?

マンション管理の情報屋です。みなさま総会は滞りなく処理されましたでしょうか?


先日、とあるマンションの理事長とお話をしている際にこんな話が出てきました。
「情報屋さんの会社に変わってからは大丈夫ですけど、前の会社の時はとにかく議事録が遅くて困りましたよ。議事録は法的に2週間以内に完成させる必要があるじゃないですかぁー」
「そうですよねー。ははは。」
。。。そんな法律はないよなーと思いつつ、【コンメンタール マンション標準管理規約】を読んでいたらこんな記載が。

『管理組合法人の場合は、登記すべき事項は組合等登記令によりなすべきものと定められ(同法47条3項)、組合等登記令3条は、登記事項に変動が生じたときは、2週間以内に登記すべきものとし、登記を怠ると過料の制裁がある(区分所有法71条5号)。この登記手続きには登記事項変更を証する書面(議事録等)の添付が必要であるため、議事録は2週間以内に作成しなければならないことになる。管理組合総会の議事録は、規約と同様、保管場所を建物内の見やすい場所に掲示すべきものであり、利害関係者への閲覧義務もあるので、管理組合法人に準じて2週間以内に作成することが望ましい』

わたしは遅くとも3日以内にお客様へ提出しているので、後はお客様任せになるのですが、こんな規定まったく頭にありませんでした。「そんな法律は聞いたことありません」と言わなくてよかったです^^;

ちなみに同じページを読んでたら、議事録の署名捺印についてこんな記載もありました。

『総会に出席した組合員が2名に満たない場合は、出席者だけが署名捺印すればよい。』

必然的にそうなってしまうのでそうしているのですが、この本に書かれているということはまぁOKなんでしょうね。(根拠も書いておいて頂けたら嬉しかったのですが、記載ありませんでした。何を元にした記述なのか、ご存じの方いらっしゃいましたらお教えください)

と、いう訳で、コンメンタールマンション標準管理規約は、今最もフロントマンに役立つ書籍かも知れません^^

記事公開日:2014-05-30

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「総会の議事録はいつまでに完成させる必要があるか?」への4件のフィードバック

  1.  ええっ!情報屋さん。それ、ホンマかいな、の気分です。単純じゃないですか。
    1.総会期日に1名のみが出席し、残りが全員、委任状を出してきたら、そりゃ、その1名のみが署名するしかないでしょう。
    2.それと、区分所有法第45条及び標準管理規約第50条では堂々と書面決議が認められているのですから、全員委任状となったような場合も「区分所有者全員の書面による合意があったときは、書面による決議があったものとみなす(区分所有法第45条第2項)」で成立です。
    3.このへんから派生して、議決権者100人中、90名が委任状、6名が会日までに委任状未提出で、役員を含め4名が当日出席予定であったが、役員を含め3名が急きょ用ができて委任状を出し、非役員のみが1名出席となったことを想定します。管理会社担当が理事長の書面による委任を受けて、管理受託者の権限により議事を進めたような場合、当職は、その1名の署名で有効と判断します。さらに、このような場合、当職は、委任状未提出の6名に、追完として、会日以前の日付の入った委任状を提出させ、1の状態になるようにしています。当然、追完が完了するまで議事録の有効議決権数が未確定ですので、実際の作成期日は若干遅れますが、議事録の作成期日はあくまでも、総会会日です。
    4.議事録の署名押印期日ですが、当職の考え方では、議事録は本来、総会終了後即時作成され、即時署名押印さるべきものであり、たまたま事務の都合で実際の作成日が遅くなるだけで、あくまでも署名押印期日は総会期日当日です。
    5.本当の問題は、3の例で、委任状未提出者6名及び出席者1名が議案反対者で、その出席者1名が署名押印を拒否したような場合など、どうでしょう。議案は普通決議議案だろうと規約改正議案だろうと、4分の3以上の委任状が出ていて成立しているのですから、理事長と役員1名が「当日の出席者署名押印拒否により、当日は委任状出席であったが、その旨を記載し、署名・押印する。」でやろうと思っていたのですが、幸いにも、かろうじて役員1名の出席がかない、これは実際にやったことはありません。やれば、総会無効確認訴訟で訴えられること覚悟でやろうと理事長と話し合った結果でした。

     次に議事録がいつまでに作成されるべきなのか。この方が当職は大切なことのように思えます。ケースに分けて考えましょう。
    6.規約の制定又は改廃の決議が伴う場合 
     まともな規約の場合、付則等で施行期日が定められているはずであり、最低でもこの日より前に議事録を公表し、総会が成立し、従って、規約も施行日に予定通り施行されることが委任状出席者等、総会の決議状況を見られなかった者に分かるようにしていないと、例えば反対者等に対抗できません。
     このようなことから、特に人に義務又は負担を課すような規約を制定した場合、当職は規約の公布行為として、議事録の写しを区分所有者及び賃借人等占有者双方に規約施行日より前に交付(メールボックス投函で十分)するよう関与管理組合を指導しています。こういう紙切れ数枚が紛争を防ぐ有効な手段となり得るのです。
    7.予算執行が伴う場合
     予算総会が成立するまでは暫定予算であり、総会が成立した後は、大口の支出を執行する前には議事録を公表すべきでしょう。特に、管理委託費の執行は、いずれの管理組合でも大口負担の最たるものでしょうから、どんなに遅くても、翌月の振替日より前には議事録公表がなされるべきでしょう。
    8.これらの例からして、当職、関与管理組合には、総会前に、出席者予定者で快く署名押印をしてくれそうな人を議事録署名人として内諾をもらっておいて、総会当日これを議長が選任し、本人もその場で承諾させる。署名押印は議長=理事長のチェック・署名押印を受けた後、管理会社が持ち回りして、早々に署名押印させる。
     管理組合に放り込みっぱなしはよろしくありませんなあ、情報屋さん。

    おまけ
     過料(カリョウ:法律の専門家の間ではアヤマチリョウ)は行政罰であり、検察官が公訴権を持つ科料(カリョウ:法律の専門家の間ではトガリョウ)=刑事罰とよく勘違いされますが、全く違います。あんまりトロトロ登記を出されたら、登記秩序を保てないとの趣旨から出る間接強制のようなもので、確か、登記官が極端な遅延など悪質なものについては裁判官に通知し、裁判所が多くの場合、登記後に支払いを通知してきます。管理組合法人の役員変更登記の例なら、当職のように議事録の作成・署名押印日を総会日にさせている場合、半年以内の登記なら、過料を食らったという話は聞きません。
    at 2014年06月07日 14:50

    1. 名前を入れ忘れていました。
      at 2014年06月07日

      1. やるじゃないですか「マンション管理は・・・(中略)・・・現場で起きてるんだ!」:香川県非業者系マンション管理士会会長近藤紀文 より:

         情報屋さん。マンションタイムズ26年9月1日号3面のコラム、読みました。
         いいこと書いてあるじゃないですか。「マンション管理は事務所で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」
         実は、奇しくも、当職も、管理会社社員や管理組合役員を叱咤激励するときは、
        「マンション管理は机上でするもんじゃない。まず、現場を見てから、頭と手と口を動かせ!」
        を常套句としています。
         その点からすれば、この本文、たかが学者の書いたコンメンタールに現実を合わせようとする情報屋さんの発想、情報屋さん“らしく”ないですな。
         まず、法人登記の「2週間以内」は、実務家の間では、ほとんど訓示規定化しています。とくに、中小企業のオヤジ相手の法人登記など、議事録のハンコ取りに手間取り、印鑑証明を取るのに手間取りで、いくら過料の制裁ありとは言え、「そんな期間で、できる訳ないやんか」で一致です。だから、上記投稿のとおり、登記管も余程の懈怠、悪質事例でないと過料の制裁には踏み出しません。
         こんな訓示規定的「2週間」に惑わされるよりも、当職が上記投稿したように、議事録は紛争の起きる火種にならないよう、規制条項の入った規約の発効や費用・負担の増大など、区分所有者又は居住者の不満が起き易いような決議をしたときは、その施行期日よりは前に議事録が作成されていないと、制度履行の要件が具備されていないことの理由の一つとして足をすくわれる元になります。それは、2週間という期間にこだわるのではなく、あくまでも効力を発生させる必要的時期要件と考えるならば、2週間より前でなければいけないこともあれば後でもいいこともあります。まさに、「現場に合わせろ」です。

         かつて、これと同じようなことを投稿したことがありましたね。2013-07-03付け「フロントマン・管理員が着服!あなぶきハウジングサービス」に対する当職の投稿
        http://the-apartment.seesaa.net/article/368161732.html#comment
        の中で、国交省の定めた「保管金口座」への余剰金の移し変えが、現実にそぐわない、非常に不合理な制度であるために、面従腹背をやりなさいと提示し、現実に当職関与管理組合はそのようにしています。体面上、1円口座で保管金口座は作るも、当職関与管理組合には「余剰金」など発生しておりません。必要な金員だけが振替口座に入っています。これが「現場」です。この現場をかき乱す、机上で作った制度など、当職は、断じて認めません。例え、国が作った制度であろうと、不合理な制度については、「現場で起きてる」こととの整合性を保たせるよう制度を変革していく能力がマンション管理士には必要です。これが、情報屋さんの言う「マンション管理は事務所で起きてるんじゃない」の行き着く先なのではないでしょうか?
        at 2014年09月04日

        1. 近藤さま。いつもアドバイスをありがとうございます^^

          ちなみにですが、わたくしは日下部さまとは何ら関わりはありません。
          at 2014年09月09日

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