騒音について理事会で発言したことが名誉棄損にあたる!?(やさしい判例)

マンション管理の情報屋です。
今日はやさしい判例紹介です。

【いつ】平成9年4月17日
【どこで】東京地方裁判所
【誰が誰に】区分所有者A(原告)が区分所有者B(被告)に対して名誉棄損に基づき損害賠償等を請求、B(被告)は反訴として騒音の差し止めと損害賠償を請求した。
【なぜ】B(被告)が管理組合の総会でAが騒音を出すと問題にしたり(ゴルフの練習をしていると疑っていた)、理事会で騒音の発生源としてA(原告)の指名を指摘したりした。
【結果】B(被告)の理事会における発言が名誉棄損にあたるとして、損害賠償請求を認容した。

~背景~
①A(原告)が騒音を発生させたという事実は、認めることが出来ない。
②にもかかわらず、B(被告)は管理組合の総会で階上からの騒音を問題にし、騒音の発生源がA(原告)であることを示唆する発言を行った。
③理事会では、A(原告)が騒音を発生させていることを明言してきた。
~ポイント~
①(Aが)管理組合が夜間の生活騒音を防止するよう要請していたにもかかわらず最低限のルールすら守ろうとしない自己中心的かつ規範意識のな人物であるかのような印象を周りに与え、A(原告)の社会的評価を低下させて名誉を棄損するものとして違法であると判断された。

ということのようです。

このような問題の場合、フロントマンとしては、「予断を許さず」で行動する事が必要ですね。
現行犯か本人が認めない限り、迂闊な発言はしないように気をつけましょうね。(被害を受けているお客様が間違いないと思っていても、第三者的にアドバイスをしてあげましょう)

さて、今日から旅行に行ってきますので、土日はお休みです。この原稿は空港へ向かう電車の中で書いてたりします。便利な世の中になったものですね。
楽しんでリフレッシュしてきたいと思います*\(^o^)/*

記事公開日:2013-09-27

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「騒音について理事会で発言したことが名誉棄損にあたる!?(やさしい判例)」への2件のフィードバック

  1. ビンタの応報:香川県非業者系マンション管理士会会長近藤紀文 より:

     出ましたねえ!こんなの、民事賠償で済むくらいならかわいいもんです。刑事告訴・告発マニア、行政事件提訴マニアは実際、います。この例なら、Aが名誉毀損(刑法230条)でBを告訴したら、Bは誣告(ぶこく):虚偽告訴・告発罪(刑法172条)でAを告発する。まさにビンタの応報です。
     こういう場合、本当に真実を追究して、正しい方に付かないとえらい目にあうのは、管理会社、管理組合いずれも同じ。さらに、真実ではあっても、表現方法がまずければ、これまた侮辱罪(刑法231条)というカウンターパンチを食らいます。

     しかし、です。まず、筆者、この判例の判決文を実際に読んだわけではないので、軽々しい判断はしたくはないのですが、上記記載の範囲内で読むならば、総会となると、名誉毀損罪の構成要件となっている公然性、すなわち、不特定又は多数が認識しうる状態に置かれたと言わざるを得ませんが、「理事会における発言」までこのように解されると、これは非常に不本意な判決だと言わざるを得ません。

     筆者、管理組合理事長はマンションの施設内警察権を持っていると認識しています。区分所有法第7節57条から60条の共同の利益背反行為の停止請求、使用禁止の請求、追出し競売の存在は伝家の宝刀であって、まずはこの強権を背景に、十分な調査を尽くし、理事長の独断性を排するために理事会にかけて審議する中で、透明性を確保し、コンセンサス性を高め、場合によっては理事会を陪審と考えて、できればこの段階でもめごとを解決する。それが無理で次の強権的段階に歩を進めるにしても、現状において出来得る手段は尽くした、という証拠は残しておかねばなりません。その場合、理事会の議事録、決議録は第一級の証拠となります。
     その理事会での発言にケチを付けるような判例が出ると、理事長及び理事会の施設内警察権を著しく萎縮させてしまうことになります。おそらくは、総会での違法・不当発言は、理事会の議案提出決議があったから生じたのだという、いわゆる牽連性を重視した結果がこのような判決を生んだものと考えますが、これだけを見ると、管理組合を運営する側としては、非常に足元をすくわれる不当な判決に思えます。

     その一方で、どのマンションにも1人や2人、「反社会的勢力」とまではいかないまでも、度の強弱はあれ、反社会的行動、独善的行動をとる者はいます。当然、そういう人間は、理事長、理事会からは色眼鏡でにらまれ、何かあれば、やっぱりあいつか・・・と、小さなトラブルが、日頃の“怨念”という衣をかぶせられて、何倍にも着膨れして捉えられるようになります。場合によっては、理事会が本当に暴走を始め、××パージの先導者兼扇動者となるような例もあります。この判例は、そのような管理組合の暴走に一定の歯止めをかけた判決のような気もします。

     しかしながら、筆者、最終的には管理組合又は理事会の味方です。このようなマンション騒音問題を当事者同士で解決させるなど、とんでもない話です。間に管理組合というワンクッションを置かないと、当事者の一方がマンションを出て行ってしまうまでの誹謗中傷・いやがらせ合戦に発展します。
     実際に筆者、このような問題が起きたときは、関与管理組合では、管理会社、理事会総動員で現場検証を行い、双方の現場に立ち入って、その実態を調べます。被害者であろうと加害者であろうと、合意の上とは言え、専有部分の現場にまで踏み込まれてあれこれ詮索されると、どちらも多少は気が小さくなり、気恥ずかしさと、第三者にまで迷惑をかけているという認識が生じて、多少たりとも妥協の線を探ろうという機運が出てきます。
     集会室だけの議論に頼るのは非常に危険です。現場主義の徹底こそ、区分所有者間のトラブル解決の第一歩です。
    at 2013年10月12日

  2. いつもためになるコメントをありがとうございます。
    最近は、当サイトも近藤様のお名前から検索されることがたびたびあります^^
    at 2013年10月18日

ビンタの応報:香川県非業者系マンション管理士会会長近藤紀文 へ返信する コメントをキャンセル

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